響け!猛毒のグラーヴェ
「えっ……」

ルシアが顔を真っ青にする。その体は小刻みに震えていた。



同時刻。トロンペーテの「L・G探偵事務所」は慌ただしかった。依頼がひっきりなしに来ているわけではない。

「よっと。機材はここでいいのかな?」

オルハンが撮影のための機材を事務所に運んでくる。レオンハルトの魔法がかけられた特別なものだ。エプロンドレスから衣装に着替えたリズをマーガレットがヘアメイクしていく。

「突然「新しい曲を撮影する」って言ってたけど、どうしたの?」

短めのネクタイがついたブラウスにキャメル色のミニスカート、縞模様のニーハイソックスにローファーを履いたリズはマーガレットの問いに真っ直ぐな目で答える。

「もうそろそろ、レオンハルトさんが推理を始めた頃だと思いますので」

「つまり、この歌は犯人に向けた歌ということですか?」

興味津々といった様子でカナタが訊ねる。その手には紙があった。リズが作詞作曲した曲が書かれている。
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