響け!猛毒のグラーヴェ
アダムとイブが成せなかった証明を二人でしよう
君となら 君が笑ってくれるのなら 何も怖くない
僕の世界に色と光を君がくれたから
数式みたいに答えはないけれど
「君を守り続ける」それだけはわかっている


歌が終わる。レオンハルトの心は震えていた。歌の感動はこの部屋にいる全員に伝わっている様子だった。マルティンは肩を大きく震わせていた。泣きながらルシアが彼を抱き締める。

「私、ずっとマルティンを待つわ」

「……ありがとう」

泣きながら抱き締め合う。そんな二人を見つめながらレオンハルトは思った。

(リズ、君の歌はすごい。ここにいる人を救ったよ)

早く会いたい。何故かそうレオンハルトは思ったのだ。



事件が解決した後、レオンハルトとアントーニョはすぐにトロンペーテへ帰国した。たった二日離れていただけだというのに、心の奥に懐かしさを何故か覚えてしまう。

「おかえりなさい!」

リズ、マーガレット、カナタが笑って出迎えてくれる。オルハンがニヤニヤと笑いながらアントーニョに余計なことを言い、アントーニョがそれに怒って殴り合いになりかける。いつもの光景だ。

「やはり私にはこっちの世界の方が好きだな」

レオンハルトはひとりごとを呟いた。
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