スパイラル・コード〜内緒でハッカーやってたら、最強アイドルにバレちゃいました〜
無事に一階に着いたので、資料を持ち上げてエレベーターを出た。
「本当にありがとう!」
「あんた、名前は?」
「えっ」
「名前。なんていうの?」
「……星咲しえるです」
「星咲しえるね」
な、なんで名前を聞かれたんだろう!?
私は戸惑いながらもペコっと頭を下げて、足速にエレベーターから出て行った。
まさか国民的アイドルに名前を覚えられちゃった?
いや、そんなはずないか。
きっとこんな風に蒼真くんと直接話すのはこれが最初で最後だ。
これから会うことなんてない。
平々凡々な一般人の私からしたら、国民的アイドルの蒼真くんは雲の上の存在だもんね。
「……でも、ほんとにカッコよかったなぁ」
そんなときめきを胸にしまい、私は先生に頼まれた資料を届けるため職員室へと向かった。