お飾りの妃をやめたら、文官様の溺愛が始まりました
第1章 寵愛なき妃
私の名前は、翠蘭(すいらん)。
二年前、三年に一度の妃募集で選ばれ、皇帝陛下の妃となった。
理由はひとつ。
地方に住む二人の弟たちを、中央の役人にしたかったから。
貧しい家に生まれた私たち姉弟。
それでも弟たちは、日が落ちるまで筆を取り、夜は油を惜しまず学問に励んでいた。
「姉上が後宮に入ったら、俺たちもきっと都に行ける」
そんな手紙をもらうたび、私は胸をつかれる思いでいた。
だから、後宮入りを決意したのだ。
そして運良く、いや、運悪く——選ばれてしまった。
けれど。
妃となって二年、私は一度も“夜伽”に呼ばれたことがない。
寵も、言葉も、まなざしさえも与えられないまま。
私はただ、後宮の片隅で“お飾り”として生きている。
二年前、三年に一度の妃募集で選ばれ、皇帝陛下の妃となった。
理由はひとつ。
地方に住む二人の弟たちを、中央の役人にしたかったから。
貧しい家に生まれた私たち姉弟。
それでも弟たちは、日が落ちるまで筆を取り、夜は油を惜しまず学問に励んでいた。
「姉上が後宮に入ったら、俺たちもきっと都に行ける」
そんな手紙をもらうたび、私は胸をつかれる思いでいた。
だから、後宮入りを決意したのだ。
そして運良く、いや、運悪く——選ばれてしまった。
けれど。
妃となって二年、私は一度も“夜伽”に呼ばれたことがない。
寵も、言葉も、まなざしさえも与えられないまま。
私はただ、後宮の片隅で“お飾り”として生きている。
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