お飾りの妃をやめたら、文官様の溺愛が始まりました
「それならば、止まらないぞ、翠蘭。」

「……ええ。欲望のままに。」

応えると、彼の唇が私の唇を深く奪った。

それはただの口づけではなかった。

愛おしさと切なさ、全てを伝えるような熱。

舌が首筋をなぞるたび、震えるような快感が走る。

景文に――心から愛するこの人に、求められるということが、どうしてこんなにも甘美なのだろう。

熱が伝わる。彼の内に秘めた情熱が、私の奥へと流れ込んでくる。

「ああ……」

「翠蘭……俺の名前を呼んでくれ。」

その声に応えるように、私は震える唇で名を呼ぶ。

「景文……」

「もっとだ。」

彼の言葉に、私は何度でもその名を繰り返した。

愛しているという証のように――。

「はぁ……翠蘭……」

景文の熱を孕んだ声が、私の耳に絡みつく。

「はああん……」

身体が、心が、彼の動きに応えて震える。

この前と違う。

優しさではなく、焦がれるような、強く激しい愛の形。
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