姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
「はー……アホらし。」
広瀬真は不意にそう言って長い溜息を吐き出す。
その息が途切れた時、私を見つめる凛とした目に力が入った。
「俺も、怒鳴って悪かった!」
緊張混じりのこの表情、見覚えがある。心なしか耳も赤い。
……さてはコイツもごめんね初心者だったのか。
「……しょーがない、今回だけ許してあげるわよ。」
「んだとテメー、どこ目線で言ってんだ。」
保健室がギャーギャーと一段と騒がしくなる。
外の廊下で、榛名聖と近江涼介は壁にもたれながら2人並んで立っていた。
***
「無事仲直りできたみたいだね?」
やれやれと聖は両腕を天井に突き上げて伸びをした。
どうやらずっとここに立ちっぱなしだったらしい。
「いちいち世話の焼ける奴。」
涼介は組んでいた両腕を解いて、教室の方へと向き直る。
「全くね〜⭐︎」
聖も続いて、2人並んで歩き出す。
その時の近江涼介の表情は、ちょっぴり優しく微笑んでいたとかいないとか。
それは榛名聖のみぞ知る。