姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

Ep.37 幽霊…なわけない


数日後、午後7時。

「ない……!!」

自室でスクールバッグの口を全開にして中を覗き込み、私は1人焦っていた。

バッグの前で座り込む私の周りを魔法陣のようにノートやらプリントやらハンカチやら、とにかくバッグの中身が取り囲んでいる。

――バッグの中はもう空。つまり、どこにもない。
私のスマホ。

なんで!?学校に忘れた!?
でも私、基本学校でスマホ使わないんだけど!

……ハッ!

漫画のように目と口を見開きハッとする。思い出したのは榛名聖の話だ。

“旧校舎で自殺”
“イジメ”
“いじめの復讐をするかのようにここに立ち入った者の持ち物を隠したり、攫って存在しない教室に閉じ込めたり…”

「幽霊!!!!」

1人で叫んで少しして我に返る。

「…いやいや、幽霊なんているわけないし。旧校舎で落としたんでしょ、多分。」

心臓がものすごく強く脈を打っている気がするけどこれは、そう、武者震いってやつだ。


気持ちが折れないうちに勢いよく立ち上がり部屋を出て真っ直ぐ玄関を目指す。

家族に行き先だけ手短に伝えて家を飛び出すと、足が止まらないように走って学校を目指した。


***

夜の旧校舎は静かだった。

というか、古ぼけた感じがいかにも何か出ますと主張しているようで、そのおどろおどろしさにここまで来てしまったことを若干後悔した。

若干ね、若干……


旧校舎入り口に来て、ドアに手をかける。が、開かない。
どうやら施錠されているらしい。


ちょっとどうなってんのこれ!

ここまで来て何もしないで帰るとか、こんな怖い思いしてるのに絶対嫌なんですけどーー!!


開かない開戸を思いっきり引っ張る。
開かない。当たり前だけど開かない。
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