姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
ああ、怖いんだ幽霊。
そう思ったけど話の腰が折れそうなのでスルーして、上体を起こし前のめりになって聞く姿勢を作った。
「その昔、ひどいイジメにあった生徒がいたらしくてね?
物を隠されたり悪口言われたり、閉じ込められたり…
ついに耐えかねてこの旧校舎の屋上から飛び降り自殺したとか………
それ以来、いじめの復讐をするかのようにここに立ち入った者の持ち物を隠したり、攫って存在しない教室に閉じ込めたりするらしいんだよねぇ……。」
マ、……マジ?
顎を引いて上目遣いでこっちを見ながら榛名聖がニタリと笑う。
おどろおどろしい表情とトーンを抑えた話し方に気圧されてごくりと唾を飲み込んだ。
隣にいる広瀬真も、ものすごく険しい顔で緊張している。
幽霊なんているわけない。
いるわけない、けど……。
「わっ!!!」
「「ギャーーーー!!!!」」
不意打ちで榛名聖が出した大声に、私と広瀬真の悲鳴が重なる。
半泣きでバクバクいっている胸を押さえ、恐る恐る榛名聖の方を見る。
ーー口の両端に掌を当てていかにも大きな声出しましたみいなポーズをしながら微笑んでいた。
ものすごく楽しそうに。
「そんなわけだから、気をつけた方がいいよぉ〜?」
今度は両手を大きく上げて未だに怯えている私と広瀬真に迫る榛名聖。
「くだらな。」
そんな私たちには目もくれず、近江涼介は呟いた。