姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
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「でもなんでババ抜き~?どうせならポーカーとかやりたかったなぁ。」
手札からペアになっているカードを真中へ捨てながら榛名聖がわざとらしく口を尖らせた。
「そんな高貴なゲームやり方知らないわよ。大人しくババ抜きしなさい、そして負けて私に跪きなさい!」
「お、それいいな。
負けた奴は最初に勝った奴の望みをひとつ叶えることにしよーぜ。」
「………めんど。」
順番はじゃんけんで決まった。広瀬誠→榛名聖→近江涼介→私の順でカードを引いていく。
手札はみんな大体6~8枚で今のところ拮抗している。
ちなみに私のところにババはない。
さて、どうなるか。
「まーくん、俺ババ持ってるよ?」
手札を広げた榛名聖が、それに手を伸ばしかけた広瀬真に意味ありげに怪しく笑う。
「教えてあげようか?右端のこれ…いや、真ん中のこれかな?どっちだと思う~?」
ゆっくりと話しながら緩慢な所作で右端と真ん中の手札を少し高くなるように引き上げてわかりやすくする。
よくある誘導作戦に、広瀬真は苦々しい表情で首をひねった。
「…いや!聖の誘導に乗るのは悪手だ!つまり取るのはこれだ!」
心理バトルものの漫画並みのテンションで叫んで広瀬真は榛名聖の左端のカードを取る。
引いたカードはおそらくババだったんだろう、「はぁ~!?」と不服の叫びが響いた。
「まー君なら俺の事疑って言うこと聞かないで逆行くと思ったんだよねぇ。」
読みが大当たりで心底楽しそうに振り返った榛名聖が、何のためらいもなく私の手札からカードを抜き取る。
ペアが揃ったようでテーブルの中央に優雅にトランプを捨てた。