姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

Ep.4 悔しくないの?


次の日、叩かれた頬はしっかりと腫れていた。

小さな顔の半分を覆う湿布に、ジャガイモ共は私を取り囲んで心配している。

なのでアンニュイな顔で節目がちに微笑んで誤魔化しておいた。

ちなみにぶつけた肩もしっかり大アザになっていて、今日も腕がちゃんと上がらない。

利き手なのに。
ふざけるのも大概にしてほしい。


昼休みを迎えて楽しそうな生徒で賑わう廊下を、財布片手に鬱々とした気持ちで過ぎ去っていく。


人気のない特別教室棟の奥にある自販機コーナーにやってくると、自販機の前で立ち止まる。

薄暗い一角で、目が痛くなるくらい強い自販機の光が煌々と私を照らしている。


“お前、あんな一方的にやられて悔しくないの?”


……私の何がわかるってのよ、ムカつく。


血の通わないロボットみたいな能面を思い出して、ギリ、と歯噛みする。

言語化できない苛立ちにトン、と自販機を殴ると、背後から明るい声がした。


「あれぇ、奇遇だね〜。」


榛名聖だ。

振り向いた私の顔がえらい事になっているのに、奴は表情ひとつ変えずいつも通りにヘラヘラと笑っている。

その隣で金髪は、わかりやすくギョッとして時間が止まったかの様に固まっている。

(……近江涼介はいないのか。)

昨日の今日だから顔を合わせずに済んでホッとした。
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