姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
#期末テストと一緒の約束

Ep.53 おさらばだな


時は2月。早いものでもう高校1年生が終わろうとしている。

浮かれモードにもなりそうなもんだけど、ここは超進学校。

10分間の短い休み時間も惜しんでガリガリ勉強しまくる奴ばかり。


今の時期は特に、だ。

なぜなら学年末テストを控えているから!


「1分1秒飽きもせずカリカリガリガリ、ご苦労なことね〜。」

ガリ勉族だらけの教室で、私は唯一優雅に高みの見物をしている。


「邪魔だブス、腕どかせ!」

静まり返った教室で目立たないように、広瀬真が小声で凄む。

自分の机に立てられた私の華奢な私の腕をノートの淵で押してきた。

「あーら、こんなんで集中力切らしてちゃ本番でコケますよーぉ?」

広瀬真のノートの上をトコトコ2本指を走らせ邪魔する。

「うぜぇ!やめろ!」

それを手で払い除けようとする広瀬真との応酬が続く。


たとえ小声のやりとりでも、なんかごちゃごちゃやってるのは周りに伝わる。

女共の嫉妬のオーラを察知して満足して手を退けた。


「お前は勉強しなくていいのかよ!
クラス替え……ってか、
今後の授業内容を左右する大事な試験だぞ。」

ようやくノート上の平和を取り戻した広瀬真が、やれやれと溜め息をついた。

「美少女は努力する姿は見せないものなの。
涼しい顔してそこそこ上位に入るのが楽しいの〜♡」

お嬢様のように高笑いしたいところだったけど、人目もあるのでウフ、と控えめな微笑みにした。

広瀬真の口角が引き攣って、苦笑いしているのがわかる。


「あー、そーかよ。
じゃ、まぁ4月からはお前とおさらばできるってことだな。
清々するわ。」


「え?」

ノートに公式を走らせながら言い放った広瀬真の言葉に私はピタリと固まる。


「来年のクラスはこのテスト結果を元にした成績順。
んな事も知らねーの?

俺は当然一位獲るけど、余裕ぶっこいてるお前は順位落とすだろな。ザマーミロ。」

ふと周りを見渡せば、今までのテスト期間以上に必死に勉強しているクラスメイト達。

特に女、血眼じゃない?

その理由を少し考えてハッとする。


……広瀬真と榛名聖のトップ10入りがほぼ確定しているからか!

上位になればH2Oの 2/3と同じクラスが確約されるから、その座を狙ってるってワケね!

私が油売ってるこの瞬間にも、女共は凄まじいペースでテキストやらワークやらをどんどん捲っていっている。

――このままじゃ私、アイツらと離れ離れ?

余裕の笑顔にたらりと冷や汗が伝う。

もしかして、結構やばいのでは???
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