姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
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放課後、いつもの教室に3人を招集した。
テーブルの上に広げられているのはティーセットなんて俗物ではない。
テキストだ!ノートだ!ワークだ!
「なんか今日は気合い入ってるねぇ。」
ゆったりと頬杖をついて榛名聖は笑う。
その緩さに手に持ってプラプラと振っているシャーペンが、なんかティーカップに見えてきた。
「どうでもいいけど勉強の邪魔だけはすんなよブス。」
言いながら目線はノートのガリ勉バカ。もしかして勉強のしすぎで審美眼がおかしくなったのか?
「また面倒なこと思いついたのか。」
勉強する気ありませんとでも言いたいのか、近江涼介は試験範囲に全く関係のない読書をしている。
容赦なくその本を取り上げ、キリリと表情を引き締めた。
「来年みんなで同じクラスになるためには、私と近江涼介がちょーっと頑張らないといけません。
――ということで今日は勉強会です!
家庭教師は榛名聖と広瀬真!」
ビシビシと家庭教師2人を指さし、鼻息荒く胸を張って立っている私を、3人はポカンとして見ている。
その後沈黙が続き、次いで広瀬真の大声が響いた。
「やらねーよふざけんな!」
「じゃあ広瀬真が成績落としてくれんの?みんなで一緒に各教科平均点70点くらいに揃えてくれるわけ?」
「アホか!んなことしたら同じクラスどころか学校辞めさせられるわ!」
ちなみに平均70点に設定したのは、近江涼介の頭のレベルに合わせたからだ。
たぶんそのくらいでみんな仲良く50位前後になれて、晴れて同じクラスになれる。
「そうでしょそうでしょ?だから私たちが合わせてやるって言ってんのよ!
広瀬真 for all all for広瀬真よ!感謝しろ!」
「意味不明なこと言ってんじゃねぇええええ!」
私と広瀬真がおでこを突き合わせて言い争う傍らで、榛名聖と近江涼介はもう教科書を広げている。
「俺はなんでもいいけどね〜。とりあえず勉強付き合うよ、涼ちゃん。」
「文句言うだけ無駄だしな。」