姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
そうだよ、私はちゃんとやり返している。
私は、わたし、は…………。
不自然な沈黙。
どうして私は今、自分に言い聞かせる様なことをしているんだろう?
呼吸が乾いて、足元がほんの少し揺らぐ感覚を覚える。
ぼうっとしている間にいつのまにか私の隣に並んでいた榛名聖が、凍りついた私の顔を覗き込む様にして微笑んでいる。
目の奥に妖しい光がチラついて心を見透かされた気持ちになった。
「そうだよねぇ。
“仕返し”って言うか、“正当化”してあげてるみたい。」
嫌な感じにざわついていた胸が、ピシと張り詰めた様な感覚。
……何が言いたいの?
私の反応を伺って楽しんでいるかのような態度に腹が立つ。
全く意味がわからない。
それなのに焦燥に再び胸がざわついて、何かに縋る様にスカートの裾を握りしめた。
「あ?何言ってんだ聖。」
あけすけで怪訝な金髪の声で我に返って、咄嗟に笑顔を作り直す。
その様子に榛名聖は満足そうに笑みを深め、私の観察をやめて自販機と向かい合い缶飲料を選び始めた。
「んー?お姫様は優しいねって話だよ〜。」
「はー?意味わかんね。」
会話が途切れた狭い空間に、ガコンと缶飲料の落ちる鈍い音だけが響く。
榛名聖の横顔は、それきり何も言うことはなかった。