姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
Ep.5 嫌われ者のお姫様
「藤澤さんどうしたの?ぼーっとして。」
夕暮れが近づく放課後の図書室。
抜け殻状態の私の顔を、隣に座る生徒会長が不思議そうに眺めている。
ハッと我に返るや否や、肩に置かれた生徒会長の手が緊張気味にそこを撫でてきた。
「あー、っと。ちょっと考え事してて。」
きゃぴ、と笑ってやんわりとその手を退かす。
コイツ、ちょっとめんどくさい。やたら俺の女感出してくる。
“頼りになる”とは言ったけど、告白してもされてもいないのに。優しくしたらすぐ調子に乗る。
……ホント、これだから男って。
取り巻き共には充分見せつけられたしもういいか。
ほら、あっちにお戻りよ。向こうですごい睨んでるじゃん。
「会長、ごめんなさぁい。今日は用があるのでもう帰ります♡」
またしても伸びてきた手をサッと躱して席を立つ。
次会う約束を取り付けられる前にさっさと荷物をまとめて廊下に出た。
――さて、行かなくちゃ。
ポケットから折り畳まれてくたびれたルーズリーフを取り出す。
“17時 体育館裏に来い”
明らかな女の筆跡、ベタベタすぎて笑っちゃうよ。ぷふ。
怒りとも喜びとも言える高揚感にグシャリと紙を握りつぶし、雑にポケットに押し込んだ。
後に待つのは修羅場なのに、だからこそ足取りは軽くステップを踏みたくなるくらいだ。
こんなことするのはH2Oファンかな?
分母が多い分、奴らは過激派だから。
――どうであれ私は逃げないよ。
呼び出される“理由”があるんだから。