姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

Ep.67 似てないようで、似ているようで


「何の用よ、薄情者。」

放課後の帰り道、家に帰ろうとする私の3歩後ろを薄情者こと近江涼介が歩いていた。

「別に「「図書館に寄りたいだけ。」」

セリフを被せてジトッと睨むと、近江涼介は小さく息をつく。


あんなに和んだはずなのに、昼休みが終わってからの午後の数時間は地獄のようだった。


広瀬真と榛名聖の冷えっ冷えの空気を、ハラハラしながら見ている私――……

その構図が、“私の魔性が2人の仲を引き裂いた”と言う噂を産んで学校中が大騒ぎ。


「なんで私が悪者になってんのよ!ありえなーい!」

そして今、無表情・棒立ちでただ見ているだけの近江涼介にも私は腹が立っている。

「大体ね、なんであの時何も言わなかったのよ!
フォローくらいしなさいよ、友達なんだから!」

近江涼介に詰め寄り、その眼前にキレよく人差し指を突きつける。

眉毛も目も吊り上げて、口もへの字にして全力で怒りを表しているのに、近江涼介は全く動じていないようだ。


「……俺が何言ってもアイツらにとっては気休めにしかならないし。だから何も言わなかった。」


節目がちに私を見下ろして、これで満足かとでも言いたげな態度。


“全てわかってます”みたいな目。


色々言いたかったのに、なぜか説得力があるから消沈した。


「も〜、じゃあどうすんのよ……。

というか、なんで喧嘩になったの?
お坊ちゃん同士、悩みは一緒でしょ。」

「同じ“お坊ちゃん”でも境遇が全く違うからだろ。」

淡々と私の疑問に答える言葉が降ってくる。

だから具体的な説明を求めるように、近江涼介の顔をじっと見つめた。

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