姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
「真は知っての通り、広瀬家の1人息子で跡取り。
立派に広瀬家を背負って立てるように、手塩にかけて育てられてきた。……やり方はかなりスパルタだけどな。
一方で聖は榛名家の男4人兄弟の末っ子。
期待する役目がないから、ほったらかされて育ってる。
だから、“跡取り”として親や周りに求められてる真が羨ましい。
なのに真はそれを否定している。
――聖が真にムカついたの、なんかわかる気がしない?」
わかる、わかる。わかる……けど。
多分それって、……
「やっぱり広瀬真と榛名聖は似てるってことね!」
自分の顔の横でピン、と人差し指を立てて得意げに笑う私を、近江涼介は無言で見つめる。
無表情だったけど「だから違うって言ってるだろ」というバカを見ているようなオーラがひしひしと伝わってきた。
けれど、もう確信してしまった私にはそんなオーラ、痛くも痒くもないのだ。
「明日、榛名聖と話してみる!」
強く自分の胸を叩き“任せて”の意を示すと、若干不安そうな近江涼介に手を振り、颯爽と走り去り家路についたのだった。