姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
Ep.71 2度目の崩壊
それからと言うもの、真くんは頻繁に社交の場に顔を出すようになった。
“場慣れのため”――だって。
寡黙だった真くんも、回数を重ねれば普通に会話してくれる様になった。
でも、元々あまり社交的ではないのだろう。
他の人とは話さないから、周りからは僕らが並んでいるだけで仲の良い友達のように映るみたいだ。
だから父親は、よく俺を連れ歩く様になった。
“広瀬”との繋がりを誇示するために。
程のいい利用――でも、嬉しかった。
お父さんは、兄たちの誰でもなく、“僕”を必要としてくれている。
父親と送迎の車内で2人きりになった時、一言も言葉を交わさなくても。
なんの情も抱かず、難しい顔をしている横顔しか見ることができなくても。