姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
AM 7:00
AM 7:00
リビングのドアを開けると、味噌汁の出汁の匂いが胸を満たす。
空腹に突き動かされるままにいそいそとカウンターキッチンの中に入った。
「渉兄ちゃん、おはよー。」
シンプルなメンズファッションに合わない、淡い水色の、しかも裾にフリルまでついているエプロン姿の渉兄ちゃんの隣に立つ。
まな板に出来立ての卵焼きが均等に切られた状態で並んでいたため、皿に移していった。
「おはよう、姫。それよそったら運んじゃってくれる?」
はーいと間延びした返事をして指示に従う。
その後も箸を並べたりご飯を装ったりと、テキパキ渉兄ちゃんを手伝いながら朝食の支度を整えていく。
ご飯、味噌汁、焼き魚、卵焼きが3人分食卓に並んだところで、リビングのドアが再び開いた。
「……はよー。」
寝癖だらけで半目、高校時代のダサいTシャツ短パン姿の傑兄ちゃんがダラダラと入ってきた。
昨日も元気に深夜まで友達と遊び歩いていたらしく、顔色も若干優れない。
私みたいな顔のくせに隙だらけでだらしない姿なことには毎日閉口してしまうが、言っても無駄なのでもういいことにする。
「おはよう、傑。」
「おはよ、傑兄ちゃん。」
傑兄ちゃんは定位置である私の隣に着席すると、そのまま雪崩れ込むように私に抱きつき頬擦りを始めた。
「あー、今日も可愛い。癒し。マイスウィートシスター。」
「ウザいよ兄ちゃん、離れてー。」
夜遅くまで遊び回ってた翌朝の傑兄ちゃんは特にウザい。
言うだけ無駄なので拒否の意を示しつつ、ぬるぬるとねちっこい頬擦りが終わるのを待つ。
30秒ほどして渉兄ちゃんの静かな「いい加減にしなさい」が傑兄ちゃんに刺さったところで、兄妹揃ってようやく向き合い手を合わせた。
「いたただきます。」