姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

「親父は?今日も仕事?」


茶碗に山盛りの白飯を掻き込みながら、傑兄ちゃんが渉兄ちゃんに問いかける。
その横で私は黙々と焼き魚の骨を除去している。

「そうみたいだね。夜中に帰ってきてたみたいだけど、朝早くに出ていった。今日も遅くなるって。」

「げー。そろそろ過労死すんじゃね?」


朝の日常会話は父親の所在確認から始まるのが定番。

激務を好んで働いている父親は、大体私が寝た後に帰ってきて、起きる前に家を出ていくからもうしばらく顔を合わせていない。

ちなみに母親は海外勤務がデフォルトで常に家にいないから、もはや話題にすらならない。

私が小学校に入学したあたりからずっと、兄妹3人で生活するスタイルが出来上がっている。

「渉兄ちゃんは今日バイトだったよね?傑兄ちゃんは?」

「兄貴居ないなら、俺は予定いれないよ~。
姫を1人にはしないからな!」

私たち兄妹には「食事は3人で」という約束がある。

今は兄たちが大学生になってから忙しくなってしまって、朝食だけに適用される約束になってしまっている。

けれど、兄ちゃんたちは夕食に必ず1人いてくれるようにしてくれている。

私を1人にしないために。

……もう私も高校生なんだから、別に気にしなくてもいいんだけどね。

「ふーん、あっそ。」

抱擁されそうになったのでその前に席を立って避ける。

空気を抱きしめることになった傑兄ちゃんの後ろを素通りして、きれいに完食した皿たちを重ねてシンクに運び、水につけると自室にカバンを取りに戻った。
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