姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
Ep.82 いつかの約束
残り10分。
もう気持ちはテストよりもその先のことに向いていて、緊張と興奮でドキドキしてきた。
ずらっと並ぶ複雑な公式を見直す余裕まで作って、チャイムが鳴るまで解答を検めながら過ごす。
時計の秒針が12を通過して、テスト終了のチャイムが鳴った。
「いやぁ、今回の数学のテストは癖強い問題が多かったねぇ。」
テスト期間からの解放で、クラス中が賑やかに湧く。
榛名聖と広瀬真も幾分晴れやかな表情だ。
そんな中、私は表情ひとつ変えずさっさと帰ろうとしている奴の背に迫った。
「待って♡逃さないから♡」
肩にかけたスクールバッグの肩紐を掴んで引っ張ると、近江涼介がほんの少し後ろ向きにバランスを崩す。
面倒くさそうに振り向いた彼に、私は満面の笑みを返してこう言った。
「話があるの♡」