姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

「お前なんかこれでも着とけ、ブース。」


気付いたら私は、ラッシュガードを羽織らされている。

広瀬真はそれが落ちないように、左右の襟元を握って中央に引き寄せる。

「っ、デッ!」

訳がわからずポカンと口を開けていると、広瀬真に私の額を思いっきり小突かかれた。

反動でカエルが潰れたみたいな声と共にのけ反った私を置いて、広瀬真ら背を向けてさっさと歩き出す。


「ちょっと、いらないわよこんなの!ていうかなんかこれ湿ってるんですけどー!」

「うるせぇ、黙って着てろブス!」

「ブスブス言うな!目腐ってんじゃないの、バァアカ!」

ラッシュガードが落ちないように抑えながら波打ち際を走って後を追いかける。

わざと大きく飛沫が立つように大股で走ると、前を歩く広瀬真に思いっきり海水がかかった。

「冷てーな!何すんだコラ!」

海水を掬い上げて思い切り水をかけられた。

「そっちこそ何すんのよバカ!びしょ濡れになったじゃない!」

「お前が先にやったんだろが!」

日を浴びてキラキラ光る波打ち際を、2人喧嘩して水をかけ合い飛沫を跳ね上げながら延々歩いた。

【姫・真 売上数現在30】
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