姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
――姫をそんな風に評する女は珍しい。
建前をいっている様にも見えない。
(こういう女ともっと前に出会っていれば、あんなにひねくれることもなかっただろうに。)
出会ったばかりの頃の、完璧を演じる姫の姿を思い出す。
有馬美咲を前に、野良猫みたいな威嚇ができる様になったのは成長だな、なんて思うとちょっと笑える。
「女に対してトラウマがあるだけで、その内懐くと思うんで。
今後も構ってやってください。」
姫への温度感のある言葉に、美咲は少し驚いて涼介を凝視する。
その横顔は変わらず作り物のような美しさと無機質さ。
(姫ちゃんのこと好きなのかと思ったけど……違ったか。)
山になったかき氷に、赤いシロップが染み込んでいく。
それを涼介はぼんやりと眺めていた。