姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

……ただ、美咲にとっての傑は“そう”なのだろう。

友情ではない、好意。

傑の笑顔が同じ顔をした“アイツ”と重なって、涼介は静かに目を伏せた。


「水族館のチケット、あれ本当は誰か誘うつもりだったんじゃないんすか?」


美咲の目が驚いたように丸くなる。

が、次第に諦め混じりの微笑みに変わって、ふっとため息をついた。

「いーのいーの!あれ、ずっと渡せなくてさ。
ちょうどよかったのよ。」

美咲の目線の先には、方々に愛想を振り撒いて陽気に接客をする傑がいる。

「アイツあの性格で顔までいいからモテるし。」

美咲は氷をすくいながら、苦笑いを浮かべた。

「シスコンで、姫ちゃんが巣立つまで彼女作る気ないのも知ってるし。

脈ないってわかってるんだー。」

「へぇ……。」


言いながら、その笑みは少し寂しそう。

それでも明るく客に向き合う美咲を、涼介は静かに見ていた。

【涼介・傑+美咲 売上数現在25】
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