姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

Ep.94 消える花火と、残る違和感


「やっぱり涼ちゃんだ!ひっさしぶりー!」

近江涼介を“涼ちゃん”と呼んだ男は、驚きと嬉しさが混じる明るい笑顔でこちらに向かって大きく手を振ってきた。

日焼けの似合うごく普通の男子高校生――
だからこそその繋がりに違和感があった。

近江涼介はといえば、相変わらずの無表情。
なのに、緊張感が伝わってきた。

「相変わらずイケメンだね!あっお母さん元気?
高校生になってから全然練習に来ないから、俺寂しかったよ〜!」

(誰?練習って何?近江涼介の友達?)

疑問符だらけで状況に置いてけぼりの私と、何も言わない近江涼介そっちのけで知らない男は話し続ける。

「こっちの子は……もしかして彼女!?
うわぁ〜めっちゃ可愛いね!さすが涼ちゃん!」

忙しない言動。
その矢印が急に私の方に飛んできて、不覚にも面食らってしまう。

「違います。」

そう言おうとしたのに、先に話し出したのは近江涼介だった。

優斗(ゆうと)、久しぶり!
一瞬誰かわかんなかったわ。」



……………………話し出したのは、近江涼介、……だった?

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