姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

***
「ありがとうございました!」

自宅マンションの前まで送ってもらってしまった。
車を降りるとき、ハイヤーの人に深々とお辞儀をしてお礼を述べた。あと、広瀬真にも。

車を降りて出発するのを見送ろうと立っていると、後部座席の窓が静かに開いた。

「明日から朝8時に迎えに来るから。」

「えっ。」

「騒ぎが落ち着くまでは送迎してやる。じゃーな。」

イエスもノーも言わないうちに、さっさと窓が閉まって車が走り去っていく。

(そんなつもりなかったのに。
友達思いのいい奴か、広瀬真……。)

そんなことを思いながら、とぼとぼとマンションに入って行った。
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