姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

Ep.97 人だった。


翌日の朝、広瀬真は宣言通りに迎えにきてくれた。

ごく普通のマンション前に停まる場違いな高級車に通る人皆が注目する中、渉兄ちゃんがハイヤーさんに何度も頭を下げている。

昨日の夜、家にスカウトマンを名乗る奴らが押しかけまくったせいで今回の件がバレた。

そして事情を話してしこたま怒られた。


「真くんもごめんね。姫が迷惑かけちゃって。」

すまなそうに腰を低くしている渉兄ちゃんに、広瀬真は平然とした様子で答える。

「大丈夫っすよ。友達なんで。
……まぁ、俺が自力で車出してないってことがダサいですけど。」

渉兄ちゃんに見送られ、私達乗せた車が走り出す。

外の音が遮断された車内はすごく静かで、今日もなんとなく気まずいスタートだ。

(……というか、私が気まずいだけなんだけど。)
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