姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

「……デートはどうでした?」

未だに少し気まずそうにしている美咲に、涼介は目線だけを送る。

美咲は「あー……」と少し困った様に視線を宙に向けた。

「一緒にいた時間の8割は姫ちゃん探してた。ずーっとソワソワしている感じ。」

乾いた笑みを浮かべる美咲はどこか遠いところを見ている。

涼介にも安易に想像ができたのか、態度には出さないが同情の念は湧いてきた。

「でもさ。そういうところも可愛いって思うから、しょうがないよねぇ。」

そう言って眉尻を垂らして笑う彼女の顔は、恋をしている人の顔だ。


――そして、それを見ながらその気持ちは姫を傷つけるものではないな、とか考えている自分は……


頭の中に姫の笑顔が飛び込んで、ふっと思考が閉じる。

それ以上考えることをしてはいけないと思うから。


「涼介くんは?楽しかった…?」

惚気てしまって気まずそうにしながら、美咲が涼介を窺い見る。

涼介と姫の関係を面白がっての質問ではなさそうだ。

美咲自身もそう思われないように表情や言い方を慎重にしている。

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