姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
Ep.104 少しの違和感
ガタゴトと走る音しか聞こえない静かな電車の中で、私達は並んで座っている。
辛いのだろう、近江涼介は苦悶の表情で目を瞑って耐えている。
いつも閉じている口は小さく開いて浅い呼吸を繰り返し、首筋に汗が伝っている。
普段は無機質な作り物なのに、弱っている姿は人間味を増幅させて不謹慎ではあるが妙な色気を強烈に放っていた。
(私が守らなくては……!)
そんな使命感に駆られて、他の乗客の視線を感じる度にそっちへ向かって威嚇した。
とある駅に着くアナウンスを聞いて、近江涼介が私の制服の袖口を引く。次で降りるの合図だろう。
了解を示して頷くと、近江涼介が囁く様に言った。
「……俺の家でもし何かあっても、見ても
……全部スルーしてほしい……。」
(どういう意味?)
聞く前に電車が停まって、近江涼介がフラフラと立ち上がろうとしたので慌ててその体を支えて一緒に降りた。