姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
Ep.113 藤澤姫
この出会いは、吐き気を催す程の衝撃だった。
「あのぉ…お隣いいですか?」
光が差し込む真っ白なカフェテリアに、高く鼻にかかったような声が響いた。
目の前には直接俺達に接触してきた初めての女が立っている。
長いまつ毛に縁取られた瞳を僅かに細め、控えめに開けた唇は柔和に弧を描かせる。
か弱さを演出する内股に、恥ずかしそうに口元に片手を当てる仕草。
頭の先からつま先までの仕草、言動、全て計算された作り物。
――気持ち悪い。
初めて姫を見た時、“涼”を演じている自分を彷彿とさせられて直感的にそう思った。
「お隣、いいですか?」
そんなこと知りもせず、ソイツは猫撫で声で話しかけてくる。
姿を見るのも嫌で顔を背け、「無理」とはっきり拒絶する。
それなのに食い下がってきた挙句、俺の制服をカフェラテで汚して旧校舎にまで着いてきたから、嫌悪感を抱き続けることになった。