姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
館内に入ると、埃っぽいような古い紙の匂いがする。
オンボロと言っても差し支えのないそこは、陰気な感じがしていつも閑散としている。
背高く立ち並ぶ本棚の間を歩きながら、いるかもわからない近江涼介の姿を探す。
本棚の側面には、「生活」とか「資格」とか何のジャンルの本棚かわかるような表示が付いている。
(そう言えば近江涼介っていつも何読んでんだろ。)
何も知らないから、どこを探すべきかも今ひとつわからない。
端から端までしらみ潰しに歩いていると、小説コーナーに探していた人影を見つけた。
「近江涼介!」
名前を呼ばれると、その人は本を取ろうとする手を止めて振り返る。
前会った時は逃げられたけど、今日は近づいても立ち止まったままだった。