姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
(金髪に合わせて派手目のメイクにしようと思ったけど、甘めな雰囲気とかの方が似合うのかも。)
血色感が出るような下地を塗って、全体をブラウンとピンクの色合いでまとめてみる。
室内には誰もいない。
私は集中していて、広瀬真はなすがままになっているからとても静かだ。
普段もそうだが、2人だと空き教室は余計に広々した空間に感じる。
顔を指やブラシで弄られる感触に慣れていないのだろう、何かする度に広瀬真は煩わしそうに顔を歪めていた。
「ねー、ちょっと雰囲気見たいから、目ぇ開けて。」
広瀬真は言われた通りにゆっくりと目を開ける。
アイラインの効果でより力強くなった目と、間近で見つめ合った。
「…………っ!」
広瀬真は驚いたように一瞬目を見開いて、顔を顰めてすぐ目を逸らす。
広瀬真の頬や耳が赤らんで、心音が大きくなる。
その頬をパフで抑えながら、私もメイクの方針に悩んで顔を顰めた。