姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
Ep.122 予行練習
翌日の放課後、旧校舎のいつもの教室で私と広瀬真は2人きりで向き合っている。
広瀬真が椅子に座って目を瞑り上を向き、私がその頬に手を添え間近で見下ろしている構図。
まさかのラブ展開……
なんてことは一切なく、これはメイクの予行練習だ。
「意外と肌綺麗ね。……これならファンデなしでいいか……
アイラインとアイシャドウの色はどうしよ……
って、ちょっと!そんな強く目瞑らないで!」
「んなこと言われたって…………慣れねぇし。」
恥ずかしそうに眉を顰めモゴモゴと何か言っている。
そんなのお構いなしで手の平を頬に押し当てて化粧水を馴染ませつつ、じっくりと顔立ちを眺めてどんなメイクにするか考える。
きめ細かくて白い肌に意外と長めの睫毛、切れ長な割に丸くて大きな目。
その目の主張に対してあっさりと控えめなな鼻筋と唇。
――あんまり顔立ちを意識してまじまじと見たことってなかったけど、よく見ると“女顔”とか“かわいい”って言われる理由がわかる気がする。
まぁ私の足元にも及ばないけど。