姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
PM17:30〜
PM 17:30
電車に乗ると、“涼”になる。
魔法が解けたみたいだとらしくもなく思って、ワイヤレスイヤホンを取り付けて“涼らしく”流行りのJ-POPを聞いて紛らわす。
家に着いたら大袈裟にだらけながら「ただいま」を言って、笑いながら家族団欒の時を過ごして、寝るまでの時間をやり過ごす。
PM 23:00
ベットに取り付けたスタンドライトをつけて、静かに読書をして過ごす。この家で唯一俺が“俺”でいる時間。
“やり過ごす”なんてまるで嫌なことみたいだ。
ふと、そんな考えが頭をよぎる。
この生活は、好きではないが嫌いでもない。
感情の外にあるものだと思っていたのに。
あれが好きで、これは嫌いで。
そうやって自分の感覚に耳を傾け始めたから、たまにバグを起こすのか。
「涼ちゃーん?いつまでもスマホ弄ってないで早く寝なさい。」
ドアをノックしてそれ越しに低い声を出す母親に、「はーい。もう寝まーす。」と涼らしく渋々な返事をする。
すぐに本を閉じて、いつのまにか変えられていた夏布団から少し厚手の布団に潜り込み、スタンドライトの灯りを消した。
―――番外編
なんでもないただの1日side 近江涼介 fin.
電車に乗ると、“涼”になる。
魔法が解けたみたいだとらしくもなく思って、ワイヤレスイヤホンを取り付けて“涼らしく”流行りのJ-POPを聞いて紛らわす。
家に着いたら大袈裟にだらけながら「ただいま」を言って、笑いながら家族団欒の時を過ごして、寝るまでの時間をやり過ごす。
PM 23:00
ベットに取り付けたスタンドライトをつけて、静かに読書をして過ごす。この家で唯一俺が“俺”でいる時間。
“やり過ごす”なんてまるで嫌なことみたいだ。
ふと、そんな考えが頭をよぎる。
この生活は、好きではないが嫌いでもない。
感情の外にあるものだと思っていたのに。
あれが好きで、これは嫌いで。
そうやって自分の感覚に耳を傾け始めたから、たまにバグを起こすのか。
「涼ちゃーん?いつまでもスマホ弄ってないで早く寝なさい。」
ドアをノックしてそれ越しに低い声を出す母親に、「はーい。もう寝まーす。」と涼らしく渋々な返事をする。
すぐに本を閉じて、いつのまにか変えられていた夏布団から少し厚手の布団に潜り込み、スタンドライトの灯りを消した。
―――番外編
なんでもないただの1日side 近江涼介 fin.