姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
Ep.135 大事な人
「ひーちゃんおかえり〜。待ってたよー。」
家に帰ると当たり前のように榛名聖がリビングのソファに座っていた。そしているはずの兄がいない。
「あれ、傑兄ちゃんは?」
「ついさっきお友達から連絡が来て、俺が来たならいいやって出掛けてったよ〜。」
あの私に近付く男は皆殺しってポリシーの傑兄ちゃんが……!?
榛名聖、どんどん私の家族に馴染んでいってて最早一緒に生まれ育った気すらしてきた……
「あはは、また変なこと考えてるでしょ〜?」
「着替えてきたら?」と促す言動まで自然で私もそれを当たり前のように受け入れちゃっている。
榛名聖め、人に取り入るのが恐ろしい程上手い男だ。
「ハイ、お茶淹れといたよ〜。座って。」
着替えて戻るとお茶まで出てきた。
これはもう私の家じゃなくて榛名聖の家だ(?)
促されるままに座ると、榛名聖がその向かい側に座る。
まずは2人淹れたての紅茶を啜ると、榛名聖が話し出した。
「まーくんとは仲直りできた?」
「あぁまぁ、うん。とりあえず問題の件については……」
「歯切れ悪いなぁ。また別の喧嘩したの?」
クスクスと笑う榛名聖は心底楽しそうだ。
というか、なんか機嫌がいい。