姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
私が困惑している間に、広瀬真は目当ての大学の赤本を手に取る。取り出した時に大学名が見えた。
「げっT大!?日本一頭いいとこじゃない!」
「俺が決めたわけじゃねーけどな。レールに乗っかってるだけ。」
言いながら背後のコピー機へと歩いていったから、また広瀬真の背中と向き合う。
静かな室内に、本を捲る微かな紙の擦れる音だけが聞こえる。
その言葉を、広瀬真はどんな顔で言ったのだろうか。
「……戦うんじゃなかったの!」
「戦ってる、俺なりに。」
「じゃあ好きな道行きなさいよ!」
「くは、強ぇな。刺さるわ、それ。」
広瀬真は噴き出すように笑った後、肩を怒らせる私に苦笑した。
「決まった道を出来る限り楽しんで歩くことにした。それが俺の戦い方。」
胸まで張って潔い言い切り。
本当にそれは楽しいのか?幸せなのか?
私には理解できなかった。
「じゃ、欲しい問題コピーできたし帰るわ。」
「じゃあな」とあっさり進路指導室を出ていく。
今度は違うモヤモヤで、私は本棚を殴った。