姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
それから俺はより一層努力した。
勉強も教養も誰にも負けないくらい身につけて、場数を踏んで社交の場でも堂々としていられるようになった。
そうすると「広瀬ももうここまで」なんて言っていた大人達は一斉に手のひらを返して、その分だけ友達ヅラして媚びてくる奴も増えていった。
その頃には唯一心を許してた聖とは距離ができていて、俺はまた独り。
周りに人はたくさんいるのに、俺を“俺”として見る奴は誰もいなかった。
――中学2年生の冬、父親と車に乗っていた時に繁華街を通りがかる。
信号待ちで、コンビニ前にたむろする制服を着崩し金だの青だの奇抜な髪色をした高校生の集団がふと目に付いた。
「社会のゴミだな。」
俺が彼らを見ていることに気づいて、父親は目もくれず険しい顔でそう吐き捨てる。
(そうかな、楽しそうだけど。)
仲間同士で輪になり何の話をしているのか面白そうに大笑いしている彼らは、とても自由で少し羨ましい。
なれるかと言われたらなれないが……
心の中で呟いて、信号が青に変わると車は何の未練もなくまた走り出した。