姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
Ep.148 夜の灯り
談話室の壁付けの本棚には、びっしりと漫画本が詰まっていた。
1人掛けのソファが半円を描くように3つ並んで小さなサイドテーブルを囲むセットが2つ。
部屋の明かりはオレンジ色でよく言えばムーディーに、悪く言えば薄暗く部屋を照らしている。
すでに貸切状態だし、人も来なさそうな雰囲気だし最高じゃないか。
部屋の中に入りそっとドアを閉める。
――すると、部屋の隅に本棚を眺める人影を見つけた。
「ギャッ…………って、なんだ近江涼介か……。」
宿の浴衣を着ていると大人びて見えて、後ろ姿じゃ誰だかわからなかった。
振り返った顔がよく見知った無表情だったので、ホッと胸を撫で下ろす。
「いけないんだー。宿の施設利用禁止だよ。」
言いながら近江涼介の隣に並ぶ。
近江涼介は悪戯っぽく笑う私をじっと見つめると、「お前もだろ」と素っ気なく返してきた。