姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
Ep.152 今すぐ消して
「これ隠し撮りでしょ?いいなぁ、こんな近くで撮れる距離にいられるとか。」
“隠し撮り”
その言葉を聞いて、心臓がざわりとした。
感情のままジャガイモ達を押し除け女共の前に立ち塞がると、不謹慎に盛り上がるそいつらを力一杯睨みつけた。
「消して、それ。」
低い声で威圧する私に、女共は驚いて目を泳がせる。
「え?何の話……」
「近江涼介達の隠し撮り写真。
アンタ達のお友達に消してって言って。」
さっきまで女共が見ていたスマホを指さすと、気まずそうに互いに顔を見合わせる。
するとスマホの持ち主が私の圧に反発するように険しい顔で言い返してきた。
「なんで藤澤さんにそんなこと言われないといけないの?近江くん達は藤澤さんのモノではないし、関係ないでしょ?」
言ってやったと勝ち誇った顔。
だけど、そんなことで私が引き下がるわけないじゃない。
「アイツらはモノじゃなくて人!
そして私の友達!私の友達が嫌がることしてるからやめろって言ってんの!
友達絡んでんだから関係なくないわ!
てかアンタ達も友達が隠し撮りなんて非常識なことしてたら止めなさいよ!
ちょっとは人の気持ち考えたらどうなの?」
強い口調で言った私の言葉に、“関係ない”と言った女の顔が怒りでカァッと赤くなる。
「なっ……なんでアンタにそんなこと言われなくちゃいけないわけ!?」
「アンタらが近江涼介達の気持ちこれっぽちも考えないで好き勝手やってるからでしょうが!
いいから早く消しなさいよ!」
――そこからはもう地獄絵図。
スマホを奪い取ろうとした私を、見ていた女共が押さえつけては蹴散らされ、スマホの持ち主が必死に逃げ回る。
ちなみにジャガイモ共は、この騒ぎと私の鬼の形相に圧倒されて完全空気化。
なんとか写真を消させることに成功する頃には最悪の空気になっていた。