姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

「ちょっと、まーくん!?」

真横を切る様に吹いた風に、慌ててその後を追いかける。

走ってくる2人を認識した姫の班の女子達が色めきだってざわついた。

「広瀬くん!どうしたの…」
「姫は?」

興奮で上擦った女の声を遮って、真が低く問いかける。

真から出てきた“姫”の名前に女子達は一転、気まずそうにお互いの顔を見合った。

「姫はどこだよ!」

すぐに答えが出てこないのが真の不安を煽って、焦燥感を掻き立てる。
荒い声音に女子達の表情は曇って、観念したように口を開いた。

「藤澤さんは……なんか一方的に怒ってどっか行っちゃって。」

「すごい剣幕だったんだよ!
広瀬くん達は自分のだとか思ってるみたいで……!」

媚びるような困り顔に猫撫で声。
真と聖の中の姫の印象を下げる意図と、あわよくば自分達が2人に近づきたい下心が滲み出ている態度。

でも、事情なんて真にとってはどうでもいいことだ。
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