姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

Ep.160 手を振られた


翌日、朝。
修学旅行最終日は、広い宴会場に2年生4クラス皆が集まる学年集会から始まった。

荷物をまとめて集まった順でクラスごとに分かれて整列している。
私は後方で近江涼介と前後で並んでいて、かなり前方では広瀬真と榛名聖が2人並んで大欠伸をしていた。

ふとB組以降の列の方を向くと、友達と一緒に列に並ぼうとしている栗谷天音と目が合った。

にっこりと微笑んで控えめに手を振られてドキッとする。

多分、多分だけど、私に向かって手を振った。

(ふ、振り返した方がいいのかしら……?)

恐る恐る顔の辺りまで手を挙げてみる。

(いや!やっぱ違ったかも!)

恥ずかしすぎて、不自然に顎を触って誤魔化した。

「友達できたんだって?」
「うわ、びっくりした!」

突然後ろに並んでいた近江涼介から声をかけられ、ピョンと肩を跳ねさせる。

動悸がおさまらないまま振り返ると、いつもの涼しい顔で私を見下ろしていた。

「聖から聞いた。」

なぜ?と問われる前に答えがくる。

それで私も“友達”とは栗谷天音のことを指していると気づいて、「あぁ」と頷いた。
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