姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
お次は木の小道にやってきた。
虹色にライトアップされた並木道が、暗がりを幻想的に照らす。
私達は、まだ黙ったままだ。
何でもない顔に見える広瀬真の横顔を盗み見る。
いつもうるさい表情は、今日は伏していて大人っぽい。
下がるまつ毛に光が当たって、ちょっとだけ綺麗だと思った。
(カップル……そうか。
男女2人でいると恋人同士に見えるのか。)
何を今更なことを、と思う。
今までだって、それで誤解されることもあったし、むしろそれを利用して復讐をしていたこともあったのに。
でも私と広瀬真は友達で、ただ友達として戯れあっていただけで。
それなのに恋愛を絡められるのは、とても面倒くさいと思う。
(――あぁ、でも私だってさっきの男女2人組を見て、
“恋人同士だ”って勝手に思ったか。)
だったら、男女2人組の構図がカップルに見られるのは仕方がないことだ。
吐き出す白い息が暗闇に消えていく。
心も一段沈んでいく。
わかる。わかるんだけど――……
でも、すごく嫌だ。
「なんか腹減ったな。」
気の抜けたような広瀬真の声にハッとする。
呆けたまま彼の方を見れば、呑気に後ろ頭に両手を置きながら伸びをしている。
「なんか食おーぜ。」
「……うん。」
遠くを見ていた猫目がフイとこっちを向く。
それで私も脱力して、ゆっくりと頷いた。