姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

***

公園のイベントマップを見ながら、出店の集まるスペースに移動する。

ベンチに座らされてしばらく待っていると、大きな肉まんを両手に1つずつ持った広瀬真が戻ってきた。

「ん。遅れた詫び。」

私の隣にどかりと座る。
肉まんを齧りながらもう一方の肉まんを私に差し出してきた。

「……ありがと。」

あんなの、ほんの冗談だったのに。

そう思いつつなんとなく流れで受け取ってしまったから、私も同じように肉まんに齧り付いた。

「……!美味しい。」

ふわりとあったかくてホッとする。
一口が大きくて頬を膨らませながら味わっていると、それを見た広瀬真が笑い出した。

「……単純かよ!」

くしゃりと細くなる猫目。

笑った時に片眉が下がるのは癖なのかな。

何が可笑しいのかくつくつと笑いを噛み殺す広瀬真に、もぐもぐしながら一応怪訝そうな顔をして見せる。

最近たまにわかんないのよね、コイツの笑いのツボが。

広瀬真は気の済むまで笑った後、笑顔の跡を残したまま私の目をまっすぐ見てきた。
< 660 / 874 >

この作品をシェア

pagetop