姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

Ep.169 壊したくないもの side. 広瀬真


軽食を摂ってからの姫は元通りになったと思う。

クリスマスっぽいモチーフのオブジェを見てはしゃいだり、雪が舞っているように見えるライトアップに釘付けになっていたり。

来た時よりも上機嫌に見えるほどだ。

勘違いされて急に元気がなくなったように見えたけど、食べ物で回復できたならまあ気にすることもないだろう。

「広瀬真、見て見て!
――すごいね!」

光の粒が集まる夜を背景に、振り返った姫が無邪気に笑いかけてくる。

その度に心臓の音がうるさくて、正直途中からイルミネーションがどうでもよくなってきた。


「はー……堪能した。思ったより見応えあったよね。」

「だな。順路的にそろそろメインのツリーの辺りか。」


メイン広場のクリスマスツリーに近づくにつれ、だんだんと順路に人が増えてくる。

渋滞みたいになって少しずつしか進めなくなったところを、2人並んで数歩ずつ進んでいく。

周りを見れば家族連れにカップルだらけ。

中には男女ペアでも俺らみたいなただの友達もいるんだろうけど……
クリスマス・イヴにこんな場所にい2人でいたら、そりゃそういう風に見られるだろ。

“見え方なんてどうでもいい。”

(姫の様子がおかしかったから、気にすんなって思ってああ言ったけど……。)

そんなことを言っておいて、内心少しは気にしてしまう。
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