姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
肩が触れ合いそうなくらいに近い距離。
盗み見た横顔は、長いまつ毛がくるんと上を向いていて唇もツヤっとしている。
儚げな見てくれのくせに意志の強そうな瞳も、絶対に丸めない背筋も、全部、全部。
…………綺麗だ、
……と、思う。
恋人同士に見られたって、俺は別に……
(……って、変態か俺は!)
いくら好きな奴だからって、姫相手に、凶暴ゴリラ相手に“綺麗”なんて、頭湧いてんのか、俺!
姫への恋心を自覚してから、自然に湧き出るようになった甘い感情に戸惑う。
煌びやかなシチュエーションと、2人きりの雰囲気にあてられて、余計におかしくなっているのか。
湧き上がった煩悩を掻き消すように、乱暴に自分の髪を掻き乱す。
急にそんなことをしたから、姫がきょとんとしてこっちを見た。
「……なんでもない!」
「ふぅん?そう。」
大して興味もなかったのか、姫はあっさりと頷いてまた前に向き直る。
1人でこんなにあたふたして、カッコ悪ぃし馬鹿みたいだ。