姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
Ep.170 いつもの距離で
長い長い人混みを抜けて、ついにメイン広場へと辿り着く。
華やかに光る広場の中央には、見たこともないくらい大きなクリスマスツリーが金色に輝いて君臨していた。
「すっ……ご――い!
ね、広瀬真見て!これは並んだ甲斐があったわよね!?」
あまりの壮大さに子供みたいにはしゃいで、ツリーの目の前で手招きする。
広瀬真はゆったりと随分後ろを歩いている。
その目に来た時の様な輝きは無くて、何だか沈んでいる様に見えた。
「こんなデカいと思わなかったわ。すごいな。」
反応薄っ。
何さ、今更大人ぶっちゃって。
「もっと素直になりなさいよ真くん。
こんなところで斜に構えたってカッコよくないわよ?」
ムカついたから広瀬真のところに走って戻って、その両頬を思い切り摘んで引き伸ばす。
そうすると、広瀬真はいつも通りに迷惑そうな顔をした。
「いででで!おりゃいふもどーりじゃわ!
はなしぇぶーす!」
「何言ってるかわかんないのになんでブスだけハッキリ言えんのよ。
ム・カ・つ・く〜!」
柔らかい頬を何回か乱暴に引き伸ばし直して、ピンと勢いよく離してやった。