姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
#正しく強い子
Ep.172 今年の初詣は
あっという間に冬休みに突入して、あっという間に新年を迎えた。
冬休みは年末年始もあるからみんな忙しいらしくて、クリスマスが明けた翌日の終業式を最後に3人には会っていない。
初詣も広瀬真と榛名聖は忙しいのがわかっているから声すらかけていないし、近江涼介は誘ったのに断られた。
所用があるんだって。
(まぁいいけどね!初詣なんて。
宿題多いし、それ以外の勉強もしなくちゃいけないし。)
テレビ前のソファを独占して、新年のお笑い番組を観ている傑兄ちゃんがゲラゲラ笑っている。
そんな騒音に慣れっこの私はダイニングテーブルに宿題を広げて、不貞腐れた気持ちを持て余していた。
渉兄ちゃんも朝から友達と出かけちゃったし、傑兄ちゃんも昼前には家を出るって言うし!
いいもんね、別に!気にしてないんだから!
さっきから一問も進んでいない英語のプリントに、「バカアホ」と何回も書き連ねる。
途中でハッとして消しゴムをかけたけど、強めに筆圧が残ったのでまた英語担当のオバサンに目を付けられると頭を抱えた。
〜♪
テーブルの隅に置いていたスマホの着信音が鳴り、その瞬間にそれを手に取る。
誰だ!?近江涼介か!?広瀬真か!?榛名聖か!?
やっぱり遊べるって連絡かもしれない。
血走った目でギンとその画面を見れば、映っていたのは“栗谷天音”の文字だった。
「も、もしもし?」
初通話だ、とドキドキしながら通話を繋げる。
恋する乙女みたいな私の声色が、傑兄ちゃんのシスコンセンサーに引っかかったようだ。
傑兄ちゃんがソファの背もたれから身を乗り出してこっちを睨んできた。