姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
Ep.184 蘇るトラウマ
ダイニングテーブルに、傑兄ちゃん・私・渉兄ちゃんと、向かい側には母親1人という配置で座る。
息子2人に睨まれて、その間にいる娘も暗い顔をしている。
――にも関わらず母親は1人明るくにこやかでそこだけ異空間の様だ。
「3人並んでるとなんだか昔を思い出して感慨深いわね〜!
貴方達、小さい頃から姫を取り合って可愛がっててねぇ。」
「俺達は貴女と昔話をする気は一切ありません。
ここに来た用件を端的に話して下さい。」
事務的で冷たい口調、今まで見たことないほど冷めた表情。
母親に対する渉兄ちゃんの嫌悪感がそれだけで強く伝わった。
「久しぶりに会ったのにつれないのね。
……まぁいいわ、可愛い我が子全員に会えたことだし。」
綺麗に整えているけど歳を重ねているのを隠しきれない目尻が柔らかく下がる。
その表情にほんの少しだけ母性を感じて、記憶の中の母親と重なってドキッとした。
「安心して?貴方達に会うのはこれで最後。
お母さんね、正式に離婚することになったから。お父さんと。」
満面の笑顔で爽やかに告げられた言葉に、何かが崩壊していく様な感覚を覚える。
兄ちゃん達はそれを聞いても至って冷静な様子だ。
動揺している私に気づいた渉兄ちゃんは、私の手をギュッと握る。
けれど、そんなの気休めにしかならなかった。
「渉も傑ももう大人だし、姫だってもう子どもではないでしょ?
だからもういいかなって思って、お父さんにお願いしたらやっと離婚に了承してくれてね〜。」
何の未練もない、あっけらかんとした口調。
清々しさえ感じる笑顔。
「そもそも、いるんだがいないんだかわからない母親だったし?
貴方達にはどうでもいいことかもしれないけど、一応報告しようかと思って。」
母親からは少しの罪悪感も伺えない。
というか今の話だと、書類上の婚姻関係が続いていただけで、すでにお父さんとお母さんの関係は破綻していたみたいに聞こえる。