姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
Ep.188 家族が戻る
頬にしっかり私の手形をつけた母親が帰って行った後――
私達は4人でダイニングテーブルを囲んでかなり遅めの夕飯を食べていた。
「姫ありがとう!兄ちゃん達の無念を晴らしてくれて!」
傑兄ちゃん遠慮なく私をハグして頬擦りする。ウザい。
「無茶しすぎだから褒めたらダメでしょ。
まぁ、結構スカッとしたけど……。」
あの時止めに入った渉兄ちゃんも満更でもない様子。
榛名聖はあの惨状を思い出すだけで笑えるのか、まだ肩を震わせている。
「いや、でもまさか姫が知ってたなんて思わなかったよ。
あの人の不倫が発覚して両親が大喧嘩してた時も姫は寝ていたし、その後も何もピンときてなかったみたいだったから。」
「でもそもそも発覚したキッカケが姫だっただろ?
突然“なんでもない、秘密なの”って毎晩夜泣きする様になって父さんが母さんを疑ってって。」
山盛りのご飯を掻き込みながら傑兄ちゃんが宙を見て当時のことを振り返る。
「――まぁ、母さんがいなくなってからは全部無かったことになってて、今度は“お母さんがいない、寂しい”って泣くようになったけど。」
そうか、そんな恥ずかしい時期があったのか。
全く記憶にないけれど。
ずっと兄ちゃん達を振り回してしまっていたんだなぁ。
本当に頭が上がらない。
「当時もめちゃくちゃ可愛かったんだぞ」って抱きついてくるのはウザいけど。
「聖くんもいてくれて本当に助かったよ。
帰ってきた時、姫がかなり吹っ切れた顔してたからホッとした。ありがとうね。」
「いえいえ〜、俺はひーちゃんを助けたかっただけです。友達ですから。」
当たり前の様にそう言って笑う榛名聖に、くすぐったい気持ちになる。
その夜は榛名聖が兄達にものすごく感謝されて、もてなされて賑やかに帰るまでの時間を過ごした。