姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
#モヤモヤの正体

Ep.189 晴れ晴れ


母親襲来の翌日。

母親の記憶が無意識下でずっと私の中の何かを燻らせていた様で、決着がついた今とても解き放たれた様な気持ちだ。

“何か”とは具体的に何かはイマイチわからないが……。

とにかく晴れ晴れスッキリ、とても清々しい感じがしているのだ。

「おっはよー、近江くん⭐︎いい朝だね!死ぬほど寒いけど。」


朝、教室に入るなり上機嫌で軽やかに近江涼介の肩を叩いた私を、近江涼介は引いた雰囲気で見ている。

顔は無表情だけど、なんかそんな空気を感じた。


「じゃあまた後でね♡」

ドン引きされていたって気にしない。

足取りも軽く近江涼介の元を過ぎ去ると、自分の席に着いてその前にいる人物達にも挨拶をした。

「おはよう広瀬くんと榛名くん♡
ご機嫌いかが?私は元気だよ⭐︎」

「ひーちゃんおはよ〜。朝から異様なくらいテンション高いねぇ。ちょっと鬱陶しいレベルだよ〜。」

榛名聖め、ヘラヘラしてるくせに辛辣なことを言うじゃないか。
まぁ昨日の恩もあるし、今日は許してあげよう。後日覚えておけ。

「広瀬くんもおはよう♡
挨拶されたらちゃんと返さないとなんだよ?
ほら、おはよーう。」

可愛く頬杖をつきながら、こっちに振り返り表情を引き攣らせてドン引きしている広瀬真の背中を何度も叩く。

「お前……今日は新しいタイプの気持ち悪さだな……。」

「はい?もう一回言ってみろバーカ。」

今日の私でも流石に看過できずに口の悪さが出てしまった。もちろん周りには聞こえない程度の音量で、だが。


「朝からテンション高すぎて気持ち悪ぃって言ったんだよ、ブス!」

「バカって言われたらブスって言うのが癖になっているようね!
いいこと?私がご機嫌なら世界もご機嫌なのよ!喜ばしいことじゃない。」

「お前こそブスにバカってテンプレのように返すじゃねぇか!あと頭沸いたこと言ってんじゃねー!」

「なんですってぇ!?」

やりとりを重ねるごとにお互い前のめりになって近距離で睨み合う。
進展しない言い争いをしばらく続けた後、広瀬真はぶっきらぼうに前に向き直った。

「んだよ、全然元気じゃねぇか。なんだったんだよ昨日のは!ふざけんなよ、聖。」

「ええ〜?なんか俺に飛び火したんだけど〜。」

「榛名聖、言い返してやんなさい!2対1で広瀬真なんてボッコボコよ!」

そうこうしている間にHRの始まりを告げるチャイムが鳴る。

昨夜の出来事が印象深すぎて何もかもを忘れてスッキリしたこともあり。

いつも通りを取り戻した私達はその後数日間何事もなく平和に過ごした。

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