姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
#消化できない
Ep.200 告白ラッシュ
いつも通りの日常を取り戻して、それから2月に突入した。
2月といえば学年末テストが迫る月。
2年の冬はテストに並行して受験勉強もしなければならない。
クラス替えのかかった1年の時とはまた別の意味で、休憩時間もみんなが必死になって机に向かっている。
「あの……近江くん、ちょっといい?」
「榛名くん、来てくれない?」
「広瀬くんっ!話があるんだけど……!」
シャーペンがノートを走る音だけが響く鬼気迫る空間に、次から次へとやってくるのは3年の女共だ。
どいつもこいつも空気を読まずに顔を真っ赤に染めて、モジモジして出入り口を封鎖。
クラス中が「色めきやがって!」と殺気立っている。
これに対して広瀬真は数名の呼び出しに応じたのち、埒が開かないと悟ったのか完全無視に切り替えた。
近江涼介は「この場で言え」とばかりにジッと呼び出した奴の方を黙って見つめて退散させている。
唯一進路も勉強要らずで、テストにも頓着していない榛名聖だけが逐一呼び出しに応じて何度も離席していた。
「すごいねぇ、先輩方の告白ラッシュ。受験が終わって暇なんだろうねぇ。」
昼休み、旧校舎のいつもの教室で紅茶を飲みながら榛名聖は明るく言った。
「こっちの状況も空気も読まずに来るのがウゼェ。」
広瀬真は昼休みでも元気に勉強三昧だ。
苛立ちに任せてシャーペンの芯をノートに押し付けたせいで、ポキッと折れた芯が飛んでった。
「まぁまぁ〜。卒業前の思い出作りみたいなものでしょ。
綺麗な思い出、作ってあげたらいいじゃない。」
「意外とお優しいのね。榛名聖。」
「うん。今後芸能活動を行うにあたって、過去の塩対応で炎上したら嫌だからねぇ。」
「……物凄い打算的な優しさだった。」
胡散臭い笑顔を貼り付けて悪びれもせず腹黒いことを言う榛名聖にドン引きする。
近江涼介は我関せずといった調子で珍しくちゃんと勉強していて、広瀬真はまだ不服そうな顔だった。